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三重から、
世界へ。

松阪市在住書家・アーティスト

伊藤潤一 / Jyunichi Ito

profile
1986年、三重県生まれ。皇學館大学社会福祉学部卒業。2007年より路上で表現活動を始める。 故宮博物院国際正会員、日本デザイン書道作家協会会員。 みえの文化びと/三重県文化賞新人賞(2017)、東久邇宮文化褒賞(2018)、 東久邇宮記念賞(2019)、日本デザイン書道大賞 優秀賞(2020)、第32回三銀ふるさと三重文化賞(2021)。

100円ショップの筆と墨を持って路上へ

20歳の頃、やんちゃな友達と遊んでいたんですけど、ふと自分には何もないなと思って。そんなときに偶然、四日市で書道の展覧会をやっているギャラリーを見かけたんですよね。作品の前に人が集まって、談笑して、コミュニティが生まれる瞬間みたいなものが目に入って、自分もこういうことやりたいと直感的に思った。それで早速100円ショップで筆と墨を買って、伊勢中川駅の路上で書き始めました。でもまぁ誰も見向きもしないし、つまらなくて、二度とやるかと片付けてたら、カップルが声をかけてくれて作品を買ってくれて。しかもそのあと、あったかい飲みものと食べものまで差し入れしてくれて、(この人たちのために頑張ろう!)と思ったのが原点です。

悔しさは常にある

路上に出たのが2007年だったんですけど、2008年にはもうギャラリーで個展をさせてもらいました。現役大学生書家というのが珍しかったのもあって、メディアに取り上げられることも増えて、イベントに呼ばれたりとか、一気に仕事が増えました。何の縁もなかった書にのめり込んでいる理由は、何度やってもうまくいかなかったからです。字を書くというシンプルな行為ですが、いまでも完全にできたと思うことはないから悔しくてやめられない。あと最初の頃は伝わらないもどかしさもありましたね。ぽっと出の偽物だと言われたり、馬鹿にされたりしたこともありました。確かに基礎を学んでいたわけではなかったので、正直最初は自分でも「書家」と呼ばれることに抵抗がありました。それで2014〜2015年頃には、書の勉強を本格的に始めました。

書のもつ背景や物語に共感が集まる

書ってなんでこの作品がいいのか、惹かれるのか、好きなのか、よくわからないですよね。僕自身のことでいえば、最近はさまざまな土地でいろんなものを見たり、いろんな人と話したりしながら書くことが多いので、それぞれの作品が持つバックグラウンドやストーリーに共感してもらうことが増えているのかなと感じています。時期によって自分なりのブームがあったりとか、追求しているものが変化したりもするんですけど、ここ数年の作品は絵画っぽい、音楽っぽい要素があるかもしれない。書ではないところの感性に対して、いろんなアプローチができていて、そこに反応してくれる方が多いのかもしれない。個展に来てくれた方が、もう1回友達を連れて戻ってきたり、朝の自然光と夜のライティングのもとで作品のニュアンスが違うのを見てくれたり、そんなことが一番うれしいです。

2020年熊野古道
2018年橿原神宮

三重での活動にこだわる理由

三重で活動して芽が出なかった人が、東京に拠点を移したら成功するという例は多いですが、それって裏を返せば、三重では無理だというモデルを作ってしまっていることになる。だから僕は生まれ育った三重にいて、ここから東京へ、海外へと発信している人になりたくて、実際にフランス、イタリア、スイス、台湾などでも実績を持ちました。過疎地域の学校に呼ばれて講演したりするような機会もあるんですけど、「これだけ交通もインターネットもある時代なんだから、地元にいても何でもできるよ。都心=優位、地方=ハンデではないよ」と伝えます。若い子たちには諦めないで粘ってほしい。僕はこれから何かをやりたい子たちを応援するためにも、三重で好きなことをしている実例になりたいんです。日本人は根本的に助け合いという精神性がある民族だと思います。「お天道様が見ている」「神様が見ている」という意識も根付いていますよね。三重県には伊勢神宮という素晴らしい場所がありますが、ここは日本人には必ず1回は来てほしいです。伊勢神宮にしかない空気が流れていて、神様の存在を感じられます。都心に人口が集中することで地方が廃れたり、ネットの普及で情報が均衡化されたりして、すべてがフラットになりがちな時代なんですけど、まだまだ地方にしかない文化はたくさんある。三重に根付いているもの、受け継がれているものは大事にしていきたいですね。

恋する鳥羽Hotel

2016年に、主要国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)配偶者プログラムで、ディナー会場の演出を手掛けたことなどもあって、このサイトの題字である「恋する鳥羽Hotel」を制作するご縁をいただきました。鳥羽をクルマで走ると景観がとてもきれいで心打たれるし、「恋する」というフレーズはいいなと思って、題字ではそこを印象的に見せることを考えました。漢字とひらがなに、アルファベットが入っているところも面白いですよね。完全な和ではなくて、グローバルな感じとか、音の響きとかもイメージしながら、かなりたくさんの案を試作して、最終的には2案に絞りました。それをベースに仕上げたものが現在のロゴマークです。三重県を、鳥羽市を、好きになる方が増えてくれるといいなと思います。

2021/11/10

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