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Tourism

鳥羽の魅力を海外へ。

鳥羽市役所観光課 勤務国際交流員

ポーリン・カゾ / Pauline Casaux

profile
フランス生まれ。2021年10月より、JETプログラム(JET:The Japan Exchange and Teaching Programme) に基づく国際交流員(CIR:Coordinator for International Relations)として鳥羽市観光課に任用される。

世界であまり知られていない鳥羽の魅力をシェアしたい

わたしはパリの辺りで生まれフランスの南部にあるトゥールーズで育ちました。15歳のときに日本の文化に興味を持ち、日本語を勉強したいと思いましたが、まずは英語を身につけたほうがいいと両親にアドバイスされ、さまざまな国で研修のプログラムを持つ学校に進学しました。インド、イギリス、ポルトガル、フランスなどで勉強したり働いたりという経験を経て、2009年には日本の企業で研修をする機会をもらい、東京都のホストファミリーのもとで生活しながら日本語を身につけました。
今回、仕事で日本に来たのは12年ぶりです。JETプログラムという事業の一環で、国際交流を進める立場として、2021年10月より鳥羽市の観光課に席をもらっています。わたしは都市よりも自然のある場所が好きなので、鳥羽を知ったときは、とても魅力を感じました。ただ、パリの本屋でガイドブックを見ても、東京や京都、大阪などはたくさんの情報があるものの三重といえば伊勢神宮ぐらいしか見当たりません。鳥羽となると海女さんの話、ミキモトの真珠の話が少しだけ載っているくらいで、ほとんどトピックはありませんでした。だからこそいいなと思ったんですよね。きっと鳥羽には隠れた宝石のように素晴らしいものがたくさんあるだろうから、自分がそれを見つけて発信できたらと考えました。

海と山、豊かな自然が素晴らしい

鳥羽での主な仕事はパンフレットの翻訳、新しい観光コンテンツの発見や発信、イベントや地域の異文化交流活動への参加などです。まだここへ来て1ヶ月半ですが、時間がある限りは出かけて写真を撮っていて、フランス語で「ファンタスティック鳥羽」を意味する「fantastique_toba」というInstagramを運営しています。とても気に入ったのは安楽島町の伊射波神社です。船が安全であるように祈られてきた神社だそうですが、海がすぐ近くて景色も美しく、ガイドブックに大きくは載っていないようなこんなスポットにときめきます。日本の神社やお寺は面白いですね。モスクや教会は信者のための施設であるのに対して、神社仏閣は誰にでも開かれている感じで、生活の中に溶け込んでいる印象です。先週末は浅間山をハイキングしましたが、伊勢湾の眺めも素晴らしかったです。石神神社を目当てに出かけた相差は、くじら崎、海女小屋などを巡るハイキングコースも満喫しました。答志島や神島などの離島は、鳥羽のターミナルから15~30分程度の距離であるにも関わらず、到着の瞬間から空気が違って、島独特の空気に癒されました。

食は美味しく、人はあたたかく

10月に来日したのでちょうどシーズンだからか、牡蠣の安さにはびっくりしました。フランスでは高級な食材ですが、鳥羽ではほんとうに手軽な値段で毎日でも食べられそう(笑)。和食もシーフードも好きなのでうれしいです。スイーツも大好きなので、赤福とか橘の羊羹とか、地域の和菓子も楽しんでいます。鳥羽のお酒はまだ飲んでないので、これから試してみたいですね。鳥羽のみなさんはとても親切フレンドリーです。鳥羽そのものが素晴らしいので、自然と人々が誇りを持っているように感じます。コミュニケーションでは、日本には確かに空気を読む文化があります。自分のことだけではなく、周りの人に気を遣うという姿勢は、個人的にはとても好きです。自分がどこかに出かけたときに、そのお土産として同僚にお菓子を配るという風習を新鮮に思い、わたしもケーキを配ってみたりしました(笑)。

鳥羽市役所にて、Welcomeガーランドの下でデスクワーク

チャレンジングな試みも

真珠養殖の先駆者である御木本氏は、真珠文化の発展に欠かせない方です。日本屈指の規模を誇る鳥羽水族館も、業界のパイオニアというイメージがあります。海の保存に関する研究も注目されていますし、海藻も関心の高いテーマですね。アートを通して鳥羽を表現する「鳥羽うみアートプロジェクト」や「ARToba」など、クリエイティブな試みもエキサイティングです。石鏡町を歩きながら実際にアートを目にしたときは、サプライズをもらいました。アートには地域の宝に光を当てて、新たな魅力を伝える力があるなと感じます。

外国人観光について思うこと

外国人が鳥羽に観光に来るという目線で見ると、まず宿泊先の問題がありますね。基本的に電話ではなくオンラインで予約をするので、そこに対応しておらず、英語表記がないというのはひとつのハードルかもしれません。あとAirbnbがもっと増えればいいなと思います。Airbnbは世界中で使われているのでシステムをよくわかっている人が多いですし、安心感があります。あと、日本人は準備をしたり予定を組んだりすることに長けていて、宿を予約する時点で食品のアレルギーについて確認したりしますが、外国人はあまり事前の準備を重要視しません。他の国を観光するときは、なるべく行動を制限されず自分で自分の旅行を作りたい、現地で判断しながら自由に旅したいという気持ちが強いですね。なので英語の案内板は適宜ほしいです。言語はやはり観光をスムーズにすると思います。鳥羽という地名は、風待ち港・避難港として船が泊っていたことから「とまりうら」と呼ばれ、「とばうら」「とば」と変化したという説を聞きましたが、とても素敵なエピソードですし、現代においても外国人が「とまる」場所であったらいいなと思っています。

穴場スポットを伝えることで、鳥羽に人を呼ぶ

鳥羽に訪れる外国人観光客の中で、フランス人は4番目に多く来ています。だから自分の視点や感性を活かして鳥羽の穴場スポットを発掘して、積極的に発信していきたいですね。ガイドブックに情報がないぶん、自分がそれを作っていくようなイメージを持っていますし、やりがいがあります。JETプログラムの期間は1~5年ですが、できる限り長くいたいと既に思っているほど鳥羽が大好きです。鳥羽は名古屋、大阪、京都などの都市からそれほど離れていないのに、こんなに豊かな自然があって、落ち着いていて、遠い地のようにも感じます。このコントラストはとても貴重ですよね。鳥羽の独自の魅力を広めていくことで、名古屋や大阪、京都に遊びに来た外国人が周遊してくれる可能性に期待しています。

鳥羽市役所よりすぐ。家老日向主殿屋敷跡の石垣が残り、史跡として管理されている旧鳥羽幼稚園
2022/01/18

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