Universal
Tourism

誰もが旅を
楽しめる未来へ。vol.1

三重テラスユニバーサルツーリズムを鳥羽から考える

2021年11月20日(土)開催

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東京都日本橋の三重テラスにてワークショップ「誰もが旅を楽しめる未来へ。ユニバーサルツーリズムを鳥羽から考える。」が開催されました。年齢や性別、国籍、障がいの有無などに関わらず、鳥羽市が誰にとっても居心地のいい旅先になるために必要な取り組みを、参加者の声を参考に検討していこうというもの。当日は車椅子使用者とその介助者を中心に、合計13名が参加され、貴重な意見が数多く出てきました。その様子をレポートします。

ユニバーサルツーリズムって?鳥羽市って?

ワークショップでは、参加者同士のことを知るために、また緊張感をほぐすために、自己紹介から始まりました。参加者のみなさんは、ご自身の名前やあだ名、趣味、おすすめの旅先などを順番に紹介していきます。一人が話し終わるたびに、会場は温かい拍手に包まれました。自己紹介が終わると、ファシリテーターからワークショップの目的について改めて説明がありました。ワークショップの目的は、ユニバーサルツーリズムを実現するための「アイデアの種」を、参加者のみなさんの声から得ることにあります。説明が終わると、続いてユニバーサルツーリズムとは具体的にどのようなものなのか認識を合わせるために、日本全国の事例紹介が行われました。大分、沖縄、長野と3県の取り組みが紹介され、参加者も大いに関心を寄せている様子が伺えました。

そして、話題は鳥羽市へと移ります。「鳥羽市に行ったことがある方はいますか?」とファシリテーターが投げかけると、数名から手が挙がりました。「いいところだった」という意見もあれば、「小さい頃に行ったきりであまり覚えていない」というコメントもありました。「鳥羽市は、日本でいちばん海女さんが多く、世界で初めて真珠の養殖に成功した、海の豊かな恵みを受けた街です。ジュゴンやイルカを間近で見ることもできますし、離島に足を伸ばせば独自の文化が色濃く残っています」。ファシリテーターの紹介を聞き、参加者は思い思いに鳥羽市のイメージを膨らませている様子でした。

情報の検索性・正確性というハードル

次は、みなさんでユニバーサルツーリズムについて考える時間です。今回用意されたテーマは全部で3つ。1つ目には「旅行やお出かけのときに困っていることはありますか?」というテーマが出されました。

参加者からはまず「情報の検索性・正確性」についての問題提起がありました。「バリアフリー対応かどうかをインターネットで検索しても情報が正確に掲載されておらず、行ってみないと分からないことが多い」「バリアフリー対応と書かれていても、実際は狭くて利用が難しいケースがあった」「施設に直接問い合わせてみても、スタッフの方の対応がまちまちで、スタッフ間でも正確に情報共有ができていないのではと感じる」などの意見が次々と挙がりました。

障がいへの理解をもっと

障がいについて理解を得ることの難しさについてもコメントがありました。「障がい者用の駐車スペースを健常者が使用している」「車椅子利用者でも運転できる自動車の存在が知られていないためか、そうした人の乗り降りのしやすさまで配慮されていない」などのお困りごとに、みなさん真剣に耳を傾けていました。また、日本と海外の国民性の違いについての話題も。「海外では介助を頼んでもいないのに、『どうした?』と遠慮なく声をかけられるケースが多くあります。それはとても嬉しいですし、たくさん助けられましたね」。

その他にも「障がい者自身だけではなく、介助者も楽しめるような仕組みが欲しい」という声もありました。「入浴を手伝ってくれる人がいれば、その間に介助者が楽しむことができる」「知的障がいのある人だと、部屋の飾りを壊してしまう可能性があるので、片付けたり固定したりしてもらえると安心する」など、「誰もが楽しめる旅先」を実現するうえで、とても貴重な意見だと感じました。

旅先でも安心して過ごせるサービスや雰囲気を

2つ目のテーマは「旅先を選ぶポイント」について。このテーマでは、設備やサポート体制が充実しているかどうかという点が、特に話題にのぼりました。「沖縄やハワイに行ったときにヘルパーがついてくれて、とても安心しました。手厚いサポートがある場所なら行きやすいと思います」「仕事柄、シティホテルに泊まることが多いのですが、そのときはユニバーサルルームがあるかどうかで選ぶようにしています」「観光施設を選ぶ際は、休憩所があるかどうかを重視しています。たとえば広い施設だと、最後まで体力が持ちません。だから途中で休憩できるスペースが用意されている施設を探します」など、参加者の実体験に基づく意見が次々と挙がりました。

また、設備やサポート面だけではなく、「旅行ができる雰囲気づくり」も重要だという意見もありました。「先天性の障がいがあると、そもそも『旅行に出かけよう』という話になることがほとんどありません。だから、障がいがある人でも『旅行に行こう』と思えるような雰囲気が生まれると嬉しいです」

障がいの有無を越えてみんなで楽しみたい

最後のテーマは「旅先でやってみたいこと」。「現状は、船に乗り込むときや海に入るときが大変ですが、スキューバダイビングがしたいです」「娘に障がいがあり、どこに行くにしても介助が必要になるため、家族全員で楽しめる瞬間がほとんどありません。だから、留守番をしながらでも感動を共有できるサービスがあれば嬉しいですね。また、一時的にでも障がい者を預かってもらえる仕組みがあれば、介助者も楽しめるのではないでしょうか」「特別なことじゃなく、健常者が普通にしていることをしたい。富士山に登って御来光を見たり、スキューバダイビングしたり……」など、みなさん思い思いの夢を口にされていました。

「旅先でも、特に鳥羽に行ったらどんなことがしたいですか?」とファシリテーターが問いかけると、「釣りをやってみたい」「イルカに触りたい」など、楽しそうな声があちこちから上がりました。さらに鳥羽市出身の参加者から「生まれ育った場所ですが、まだまだ知らないところがいっぱいあって面白いです。たとえば『船の水族館』という場所は数年前までは知らなかったけど、歴史が感じられて見応えがありました」という話も。参加者のみなさんも、改めて鳥羽の魅力の多様性を感じている様子でした。

「アイデアの種」をかたちに

こうして、約90分にわたって行われたワークショップは無事に終了しました。今回参加者からいただいた貴重な意見をもとに、2022年3月頃に鳥羽市の観光業や漁業などに携わる方々とワークショップを実施予定。アイデアを形にし、具体的なアクションへとつなげていく予定です。「誰もが旅行を楽しめる場所」を目指す、鳥羽市の今後の活動に、ぜひ注目してみてください。

ワークショップ開催にあっては、企業様にもご協力いただきました。

【主催】

鳥羽市広告宣伝戦略委員会

【協力企業】

OMRON

molten

SoftBank

2022/02/18

鳥羽から新しい観光をつくろう

漁業を活かした観光に力を入れている鳥羽市では
この地でやってみたいプランがある方をサポートをします。
鳥羽市を一緒にワクワクさせていくアイデアをお待ちしています。