Universal
Tourism

誰もが旅を
楽しめる未来へ。vol.2

Anchor.漁師の貸切アジト(鳥羽市浦村町)ユニバーサルツーリズムを鳥羽から考える

2022年3月11日(金)開催

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2022年3月11日(金)、三重県鳥羽市浦村町にある「Anchor.漁師の貸切アジト」にて、「誰もが旅を楽しめる理想の旅先を考えよう」をテーマに開催されたワークショップ。目的は、鳥羽市で活動しているみなさまとともに、鳥羽市が誰にとっても居心地のいい旅先になるために考えられる取り組みを検討していくこと。当日はさまざまなバックグラウンドを持つ20名の方が参加し、5つのグループに分かれてディスカッションが実施された。

鳥羽で活動する個性豊かなメンバーが集結

コロナの感染拡大により、1月から3月へと延期になって開催されたワークショップ。当日は暖かな春の陽気の中、浦村町にある「Anchor.漁師の貸切アジト」に参加者の方が集まってくださいました。顔見知り同士も、初めましての方もいたので、まずは自己紹介から。「お名前、ご職業、趣味、鳥羽でしたいこと」を一言ずつ伺うだけでもバライティ豊かで楽しく、何だかワクワクしたムードに包まれました。鳥羽エコツーリズム推進協議会のメンバー、野村薫さんが「きょうここに鳥羽の発展のために行動しようというメンバーがこんなにたくさん集まっているのを見て心強く感じました」と言われていたことが、多くの参加者の気持ちを表していたように思います。

 

障がいのある方などの声を踏まえて、グループディスカッションへ

続いてワークショップについて説明です。きょうやりたいことは、年齢、性別、国籍、障がいの有無などに関わらず、誰もが居心地のいい旅先として鳥羽市をステップアップさせていくためのアイデアを考え、シェアし、気づきを得ること。車椅子利用者にも温泉を楽しんでもらう大分県、バリアフリー対応のマリンアクティビティを提供する沖縄県、人材×機器×地域の観点からユニバーサルツーリズムを目指す長野県の取り組みを簡単にご紹介しました。

また、202111月に東京都日本橋の三重テラスで開催した座談会で、車椅子使用者と介助者の方から出てきた意見も共有しました。障がいを持つ方が旅行で困るのは、結局現地に行かないと正しい情報が分からないことや、スタッフの対応にばらつきがあること。旅先を選ぶポイントは、設備やサポート体制の充実度。旅先でやってみたいことはその場所ならではの景色を見ることやアクティビティの体験などで、ここに関しては介助者も一緒に楽しめるサービスがあったら嬉しいという声が挙がったこともお伝えしました。ここまでの約30分で前半は終了。グループディスカッションのスタートです。

グループディスカッションの具体的なステップは、グループの名前を決めて→各自が思いつくことを付箋に書き出して→みんなでそれを見たり話したりしながら理想の街のスローガンを決めて→そのためのアイデアを考えて→最後に発表する、という流れで約1時間。グループごとに議論が盛り上がり、興味深いプレゼンテーションがされました。

旅する前から、現地の人とつながろう

発表のトップバッターは、S4(Super Four)チーム。メンバーにSF好きな専門学校生がいたことから命名された名称です。スローガンもそれに寄せる縛りで議論を進めて、「クロスプレイタウン」になりました。着目したのは鳥羽の“ヒト”。クセの強いヒトは、もはや地域独自の観光資源となるので、鳥羽にいるあのヒトに会いたいという気持ちは、鳥羽に行きたい強い動機になるのではないか。そして現地に行く前にオンラインでコミュニケーションを取ることをすれば、事前に情報を集められるので、障がいがある方を出発前からサポートできるのではないかという提案です。

橋本崇(鳥羽市旅館組合連絡協議会)、岩尾豊紀(鳥羽市農水商工課)、鈴木愛純(REMARE)、柳原颯天(専門学校生)

ユニバーサルな街は、お節介万歳

2番目のグループは、グループ名称「人間力」。前段で名称は決まらなかったのですが、みんなの付箋を集めてみたところ、結局旅先でもっとも大事なのは現地の人間の力ではないか?となって、この名称に決まりました。理想の街としたのは「GNHが日本一の街」。Gross National Happinessの略で国民総幸福量を表す言葉「GNH」を、鳥羽市らしく「G=元気に、N=仲間と、H=ハッピーに!」と意味付けしています。ユニバーサルな街はお節介万歳!困っていそうな観光客がいたら「どうしたの?大丈夫?」と気軽に声をかける姿勢が基本にあります。特にお節介な方は、スカウトにより公式のユニバーサルスタッフに任命。名物おじさん、名物おばさんとして、観光客へ熱いおもてなしを提供します。

松井保明(鳥羽なかまち会)、日下耀太(鳥羽なかまち会)、野口あゆみ(伊勢志摩バリアフリーセンター)、深見明加(専門学校生)、吉岡奈穂(コピーライター)

自然に、音楽に、美味しいものに酔いしれる

3番目の、チームクラフトが掲げたスローガンは「鳥羽酔い」。海、離島、美しい景観、美味しい食べ物など、鳥羽市が持つ豊富な観光資源をもっと活かせないだろうか?絶景をめぐるドライビングツアーはもちろん、船をうまく活用すれば障がいの有無にかかわらず、空や風、波音を感じて揺られているだけで気持ちがいいはず。景色のいい場所での音楽フェスも素敵です。鳥羽の木として制定されている「やまとたちばな」を使ったジュースやクラフトビールを作ってお土産も充実させたい。自然に、音楽に、美味しいものに酔う。誰もが気持ちいい、楽しいと感じることを素直にかたちにして「鳥羽酔い」という言葉でアピールしたらどうかという話がシェアされました。

石原真伊(海の博物館)、間瀬雅介(REMARE)、野村薫(鳥羽エコツーリズム推進協議会)、石川春香(専門学校生)、滝沢浩二(広和)

旅先で友達や恋人を作れば、旅は旅以上のものに

4番目の発表は、チップという可愛い名前のグループです。スローガンは「つくる旅」。誰もが楽しめる旅とは、パッケージ化されたツアーのようなものではなく、何でもその場でつくっていくような臨場感あふれるものではないか、という意図です。特に人とのつながりをつくることで、その場所に訪れたい理由をつくる。障がいの有無には関係なく、そこで友達や恋人がつくれたら、旅は旅以上のものになるでしょう。外国の方などは旅費自体を現地でつくるのも楽しいかも?2日働いたら2日泊まって良いよなどの体験ができれば、特別な思い出になりそうです。ちなみにディズニーキャラクターの「チップとデール」は2匹のリスのコンビですよね。グループ名のチップは、そんな相手を旅先で探そうよ!というシメで伏線が回収されました。

中山陽平(浦村旅館組合)、山下ともみ(オムロン)、山﨑正文(鳥羽市観光協会)、小河紅里(専門学校生)

誰かとつながることが、楽しい旅の糸口になる

プレゼンテーションのトリは、CCT(Chain Community Tourism)。スローガンは「つながり、つなげて、つないでいく」。人とのつながりが魅力だよね、という話はグループ名を考える段階から挙がっていました。その後のアイデア出しで、いろんな意見が出た中で、最終的に「つながる」という価値に帰結しました。旅先で「漁師と釣りに行きたい」「無人島に行きたい」と思っても、実際にどうすればいいかは分からないことも多いし、ネットにすべての回答があるわけではない。でも誰かとつながることで糸口がつかめる。新しい出会いや思いがけない何かが生まれることもある。牡蠣養殖に従事されている浅尾大輔さんのスピーチに、みんな熱心に耳を傾けました。

浅尾大輔(養殖漁業者)、中村千枝(伊勢志摩バリアフリーセンター)、勢力正太(鳥羽市役所)、木村志紀(専門学校生)、岡澤修平(コピーライター)

鳥羽のユニバーサルツーリズムの鍵は、鳥羽の人

全体的に参加者の熱量も高く、時間はおせおせ、濃密な90分でしたが、今後鳥羽市がユニバーサルツーリズムをレベルアップしていくためには、きょう何かひとつでも気づいたことをきっかけに小さなアクションを起こしていくことこそが本番です。そして誰もが楽しめる旅先のキーワードとして、ほとんどのグループが挙げたのが現地の人間。このサイト「恋する鳥羽ホテル」は、鳥羽の街に暮らす人たち全員がおもてなしのスタッフであるというコンセプトを持っていますが、まさにそこに結びついていくようなワークショップでした。最後は実際にこのようなことに日々奮闘されている伊勢志摩バリアフリーセンターの野口あゆみさんのプレゼンテーションで閉会へ。自然や食べ物などの観光資源に恵まれている鳥羽。面白い人がたくさんいる鳥羽。多岐に渡る鳥羽の魅力が、より多くの人にひらかれていくように、次につなげていけたらと思います。

【主催】

鳥羽市広告宣伝戦略委員会

【協力企業・団体】

OMRON

molten

SoftBank

特定非営利活動法人 伊勢志摩バリアフリーツアーセンター

2022/03/28

鳥羽から新しい観光をつくろう

漁業を活かした観光に力を入れている鳥羽市では
この地でやってみたいプランがある方をサポートをします。
鳥羽市を一緒にワクワクさせていくアイデアをお待ちしています。