

本物の魅力そのまま、1/12に。
今さまざまなメディアで大人気の田中さんのミニチュア。本物をその色や質感そのままに12分の1に縮小して再現する精巧なテクニックはもちろん、ストーリー性を感じさせるおしゃれな世界が、見る人を魅了してやみません。今回の作品はすべて、そんな田中さんが『恋する鳥羽』のために手がけたオリジナル。
作品づくりには採寸や写真撮影、資料集めなど、事前取材が欠かせません。田中さんはさっそく鳥羽の取材旅行に出発。テッパンの観光名所はもちろん、テーマを深めるべく旅館の厨房や離島の路地裏まで足を伸ばしました。ちょっと意外なようですが、ミニチュア作品づくりで大切なのは、リアリティのもとになる信頼性だといいます。「みんなが知らないものをミニチュアで作っても面白くないでしょう?誰もが知っているものを、細部までミニチュアで再現する。だからこそ面白いし、共感を得られるんです」と田中さん。
鳥羽を訪れた人、これから訪れる人、そして鳥羽に暮らし、働く人。何よりも作品を見た人たちに「わっ、そのままだ!」と共感してもらえる作品づくりを目指しました。


一粒3,400万円の理由。
鳥羽といえばまず、ということでミキモト真珠島の真珠博物館へ。養殖の歴史や真珠のできる仕組みなどを詳細に教わった田中さんは、これまでの優雅なだけの真珠のイメージがガラッと変わったといいます。併設されたショップでは、話題の一粒3,400万円のゴールドパールも堪能。その美しさに驚嘆するとともに、一つ一つの値札にミキモトの誇りを感じたとか。「真珠は宝石といっても鉱物ではなく、人の手で大切につくられているもの。そこにある情熱に同じモノづくりをする人間として共鳴しました。プロセスを知れば、すべて理解できる価格です。
だからこそショーウィンドウを再現した私の作品にも、そのまま値札をつけたんです」-------- 同じクリエーターとして理解できるプライド、そしてリスペクト。小さな小さな作品の隅々にまで込められたその気持ちも、この作品の見どころでもあります。
本物の真珠を使用!
⼀粒3,400万円のゴールドパールも展⽰!
真珠のすべてが分かるミキモト真珠島はコチラ
ミキモト真珠島
本物の真珠を使用!


幼き日の「あこがれアイテム 」を再現!
大阪生まれ、大阪育ちの田中さん。実は幼いころ、お父さんに連れられて鳥羽にはよく行っていたのだとか。昔から鳥羽は、県内でも有数のお宿が多いところ。今回取材した旅館でも、昔懐かしい記憶がよみがえってきたそうです。「障子があったり、金庫があったり、変わらないその雰囲気に、なんだかホッとしましたね。ただテレビはイマドキの薄型でしたが(笑)。作品ではレトロなブラウン管にしようかとも思ったんですが、それではリアリティを失うので…ギリギリのラインを攻めてみました」と、田中さん。懐かしアイテムが散りばめられたテーブルには、現在使われているパンフレットのミニチュアも!
また、この作品では幼き日のあこがれだったというアクリルのキーホルダーを再現。「あのキラキラした輝き。冷たくて、少し重くて。大切なものだったから父に持たせてもらえなかったけれど、あこがれでしたね。これはきっと共感してもらえる人も多いはず!」
今でもアクリルのキーホルダーを使っているお宿が確かにあります。そんな鳥羽のノスタルジックな魅力を、あますところなく再現した田中さんならではの作品となりました。


おもてなしの心が息づく海の幸。
あわび、伊勢えび、鯛。 伊勢神宮のお膝元・鳥羽ではこの3つを『日本の祝い魚』と名付けています。お祝いの席に欠かせない海の幸を贅沢に味わえる舟盛りは、鳥羽ではハズせないグルメの一つ。和ものはあまり制作経験がなかったという田中さん。取材に訪れた厨房で、板前さんの包丁さばきを間近で見学させてもらいました。
「板前さんのとても丁寧な説明にちょっと感動して。魚も種類ごとにおろし方が違うんですよ。とても勉強になりました。最後にたっぷり食べさせてもらいましたし(笑)」 そんな板前さんたちの技とおもてなしの心に触れた田中さんは、舟盛りのディスプレイに自分の感性を封印しました。つまり、作品を現地で味わう祝い魚の舟盛りそのものに仕上げることにしたのです。
「鳥羽に行ったら、本当にこの通りに出て来ますよ。このリアリティが、見た人に伝わればいいですね」と田中さん。実は、写真では伝えきれない遊びごころも。実際の作品を見る時には、ぜひビールのラベルにもご注目ください。


伝統的な海女さんの世界を愛らしく。
リアリティにこだわる田中さんが、海女さんをテーマに作り上げた作品。モチーフは鳥羽市立海の博物館にある、伝統的な白い磯着や小道具の展示風景です。
現在では彼女たちもウエットスーツを着用していますが、それでも貴重な資料として魅力を感じた田中さんは、博物館に飾られた磯着をまるでミニチュアドールのドレスのように、愛らしい作品に仕上げました。「トルソーに着せたのは私のこだわり(笑)。小物もかわいいし、ミニチュア好きの人にはきっとツボの作品だと思いますよ」と田中さん。
腰に付けたネットには洗濯ネットを使用するなど、独自のアイデアもいろいろ。思わず見入ってしまう、マニア必見の作品となっています。
伝統的な漁村や海女の文化を学べる!
貴重な民俗文化財がいっぱいの海の博物館はコチラ
鳥羽市立海の博物館


さあ、スローな鳥羽の旅に出かけよう。
5つの作品のうち、最後に取りかかったテーマが「島めぐり」。やはり一番難しいテーマだったとか。…… 水感が欲しい、島感も欲しい。さまざまな構想を経て再現を決めたのは、鳥羽の港から乗った船越しの風景でした。
「町と島を結ぶ定期船があるんです。小さな島の一つ一つに、町があって子どもたちの笑顔があって。きちんと人々の暮らしが息づいているんですね。写真では見えにくいかもしれませんが、そんな島の雰囲気までも再現したつもりです」と、田中さん。船のかわいらしさだけではなく、そちらにも注目して欲しいとのことでした。
海女小屋体験や磯場遊びなど
離島でさまざまな体験が楽しめる島の旅社はコチラ
島の旅社

