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乱歩が恋した鳥羽

青年時代の江戸川乱歩が、のちの妻・お隆や友人・岩田準一と出会った、鳥羽。
乱歩ゆかりの地を、知られざるエピソードとともにご紹介します。

  • 乱歩が鳥羽造船所の庶務係として勤めていた頃…、夜な夜な下宿屋を抜け出し通った先がありました。
    それは、光岳寺という近くのお寺。
    乱歩は、深夜の光岳寺を訪れてはひとりで座禅を組んでいたそう。
    他にも、会社を休んでは、自室の押入れの中に寝ていたり…、ひとりの時間を好み、夢想家と言われた乱歩らしいエピソードです。
    乱歩が鳥羽で暮らした時間は短いものでしたが、鳥羽での暮らしや体験が、乱歩の作品に大きな影響を与えたのかもしれませんね。
    江戸川乱歩館~鳥羽みなとまち文学館~から光岳寺までは歩いてすぐ。
    少し足を伸ばして、当時の乱歩に思いを馳せてみては。

  • 「同じM県に住んでいる人でも、多くは気づかないでいるかもしれません。I 湾が太平洋へ出ようとする、S郡の南端に、ほかの島々から飛び離れて、ちょうど緑色の饅頭をふせたような、直径二里たらずの小島が浮かんでいるのです。」
    これは、江戸川乱歩の小説『パノラマ島奇談』の書き出しです。
    M県は三重県、I湾は伊勢湾、S郡はかつての志摩郡にあてはまり、主人公が描くユートピア(=パノラマ島)のモデルも、実在するミキモト真珠島なのでは?と言われています。(※諸説あり)
    世界で初めて養殖真珠が生まれたミキモト真珠島は、
    真珠の博物館や海女の実演が楽しめる真珠のテーマパーク。
    まさに、御木本幸吉の描いたユートピアです。

  • 鳥羽市街の対岸に浮かぶ小さな島、坂手島へは鳥羽港から定期船でわずか8分ほど。
    のんびりとした時間が流れるこの島に乱歩の妻、お隆が生まれ育った実家(旧村万商店)があります。
    細い路地を抜けた先、島の中心地に位置する村万商店は、酒や米などを売る雑貨商(田舎によくある「よろず屋」)で、2008年頃まで営業を続けていたそう。
    今はもう閉店しているため中には入れませんが鮮やかなピンク色の壁が当時の賑わいを感じさせてくれます。
    お隆を育んだ、のどかで温かい坂手島は訪れた人をも包み込む、優しさが溢れています。

  • 乱歩が、鳥羽造船所で働くかたわら同僚たちと「鳥羽おとぎ会」を結成し、鳥羽周辺の小学校を回り演壇で話していた頃…坂手小学校の教員室で運命の人と出会います。
    それは当時、小学校の教員をしていた女性で乱歩がのちに妻として迎える、お隆(村山隆)でした。
    「ととのった理知的な顔をしていたし、笑顔もよかった。進歩的な考えも持っているようにも見えた。」
    乱歩は、初対面の印象をエッセイで綴っています。
    この運命の出会いをきっかけに、ふたりは文通を繰り返し、その後、大正8年に結婚しました。

  • 人間嫌いと言われた乱歩にも、親しい友人がいました。竹下夢二に師事した画家で、風俗研究家の岩田準一です。岩田は乱歩作品の挿絵を担当し、乱歩に創作のヒントを与えるほどの仲だったそう。
    江戸川乱歩館~鳥羽みなとまち文学館~は、乱歩や夢二と親交のあった岩田準一の生家を利用した資料館です。岩田準一の絵画はもちろん、夢二の掛け軸、著名人との書簡を公開しています。
    江戸川乱歩をテーマにした「乱歩館」では、愛用品のベレー帽やメガネの展示、本を片手に談笑する乱歩夫妻の再現模型、乱歩が撮影・編集した貴重な映像も上映され、乱歩の知られざる一面を垣間見ることができそう。
    大正の暮らしがうかがえるかまどや家具、昭和の懐かしさを感じる古い看板や自転車の展示など、レトロな空間もみどころです。

  • 乱歩が暮らした、東京・池袋の旧江戸川乱歩邸には、書庫兼書斎として乱歩が愛した2階建ての土蔵があります。十四畳ほどの広さに2万点近い膨大な数の本が納められています。
    乱歩は、薄暗く、独特の不気味さが漂う土蔵の中を好み、何本もの怖い小説を書いたと言われています。
    江戸川乱歩館~鳥羽みなとまち文学館~「幻影城」では乱歩の土蔵好きにちなんで、敷地内の土蔵を改装し、『屋根裏の散歩者』『人でなしの恋』『虫』など乱歩の作品世界をジオラマで表現しています。
    乱歩の作品を読んだことがなくても、秘密めいた彼の頭の中をのぞき見るような、ミステリアスな体験ができるはず…。

  • 乱歩は、妻・お隆の実家(坂手島)から送られて来るワカメを好んで食べたと、エッセイに記しています。
    「私の経験では鳥羽港のワカメの若いのが全国でも最上級」と、獲れたての柔らかいワカメや、茎ワカメの二杯酢がお酒やご飯に合うと絶賛しています。
    離島の豊かな海で獲れる、新鮮で若い茎ワカメは太いものでも柔らかく、コリコリとした食感と豊かな磯の香りが楽しめます。
    「生ワカメ」は日持ちがしないことでも有名で、食べられるのは12月〜3月の収穫時期だけ。乱歩も愛したこの味、ぜひ一度お試しを。

※終了しました。